妻が癌と宣告された日
2017年2月14日、妻が癌と宣告された。
テレビや雑誌、ましてや自分の仕事も癌に関わりがあるのに、いざ宣告されると頭が真っ白になった。
妻はこういった。
「私は大丈夫だから落ち着いて聞いてね。大丈夫?…初期だけどやはり癌があったの。これから色んな検査するからまた連絡するね」
会社にいた私は正直何も手につかなくなった。
ただ妻の言葉を頼りに「初期だって言ってたよな」「初期だ初期だ」と信じて自分を奮い立たせて二女の保育園へお迎えに行った。
妻が病院から帰ってくるまで、1分が1時間のように感じた。早く声を聞きたい。詳しく知りたい。いや、知りたくない。どんな顔をして会えばいいか。
とにかく二女をあやしながらそんなことばかり考えていた。
帰ってきて妻は言った。
「癌があったから全摘かもしれないって」
あっさりと言ってのけた。後出しになったが癌とは乳癌である。
女性にとって大切だし自分の体の大部分を占めていると言っても過言じゃないのに、妻はあっさり言ってくれたのだ。
私は少し動揺したが、何とか隠した。
全摘ってことは大分進行しているってことか?
などとにかく頭をフル回転させて妻の話を聞いた。
「ここに2.1cmくらいの乳癌があって、ここにもあるかもって」…2.0cm以上の乳癌はステージでいうと2以上である。その時点でごく初期であってほしいという願いは脆くも崩れ去った。
ただ妻は淡々と状況を説明してくれた。義理の両親が付いて行ってくれたからだろうか。
ある程度説明を聞いたあと、義理の両親に娘達を見ていてもらい自分の実家へ車で行った。
車に乗り込んだ時、妻がいった。
「私、今日泣いてないんだ。泣いていい?」
この瞬間を私は死ぬまで忘れない。
胸のしこりに自分で気づいて心配性が功を奏して大腫瘍にならずに見つけられたのだが、私は心から反省した。
自分が側にいながら、なぜ見つけてあげられなかったんだろう。
実家で一通り説明して自宅に戻り遅めの夕飯を食べようとするも全く喉を通らない。
たまたま実家でもらった一口カツを2人で頑張って食べて「これで勝つ!カツ!癌に勝てる!」と励ましあった。
私は30歳(※来月31だが)、妻は33歳での出来事。
周りは早いとか若いのにって言うけど仕方ない。
宣告から10日経ち、主治医が決まって3分の一の心が落ち着く場所を見つけたのでブログとやらを書いてみた。
誰かの参考になったり、支えになれるようなブログではないかもしれない。ただ何か少しでも役に立てるようなら幸いだ。家族全員寝てるので今日はこの辺で。